尿酸は細胞の核酸(DNA/RNA)の成分であるプリン体が、細胞が古くなって分解される際に一緒に分解されてできる物質です。また、プリン体を含む食品の摂取によっても体内に入ります。尿酸の産生と排出の量は一定の範囲で保たれているため、血液中に存在する量も基準値の範囲内で推移しています。尿酸は痛風の原因物質であるため血中濃度を確認します。

基準値の上限は、尿酸の血液中での飽和濃度に相当します。つまりその数値を超えるとそれ以上は血液中に溶け込めなくなり、各関節や腎臓、尿路などに沈着していきます。関節部に沈着すると痛風を起こし皮膚が赤く腫れ痛みを伴い、腎臓や尿路に沈着すると結石になります。腹部超音波では腎臓に強い白く光ったような小さな丸い形でみえます。(腎臓結石、腎臓石灰化) 膀胱に排泄されていれば尿沈査で尿酸結晶として鋭い針状の結晶が顕微鏡内で確認できます。血液中では尿酸値が高値(7.0㎎/dl以上)を示します。

☆正常値(基準値):男性(3.0~6.9㎎/dl)、 女性(2.5~6.0㎎/dl)

尿酸値が高いと高尿酸血症と診断され、関節に鋭い結晶物が出来、痛風がはじまります。

尿酸値を高める原因には、尿酸の産生が高くなる場合と、尿酸の排泄量が低下する場合の2通りが有ります。またプリン体を多く含む食品を好んで口にしている場合も高くします。

尿酸値の生産を多くする原因としては、悪性リンパ腫、白血病、溶血性貧血、甲状腺機能低下症があげられます。また、慢性腎不全や脂質異常症などがあってり、利尿薬を服用していたりすると、尿酸の排泄量が低下し、尿酸の血中濃度が上昇します。

低値の状態が続く場合は、低尿酸血症といえます。多くは腎性低尿酸血症であり、腎臓での再吸収障害が原因です。また、重度の肝疾患やキサンチン尿症、ウィルソン病などが原因となっている場合があります。

なお、尿路結石や運動後急性腎不全を起こしやすいといわれています。

尿酸値はつねに変化しているので、複数回の検査を行い高尿酸血症の診断を確定します。

高尿酸血症と診断されたら、まず食事療法を行うことを求められます。

食事療法では、プリン体を多く含む食品の摂取を減らし、アルコール類の飲用をできるだけ減らすことがポイントとなります。アルコール類では、とくにビールはプリン体を多く含むので摂取量を減らすことが肝心です。

プリン体を多く含む食品

きわめて多い食品(可食部100mg当たりのプリン体含有量300mg以上)

:煮干し、かつおぶし、あんこうの肝、干しシイタケ、鶏レバー、まいわし(干物)

多い食品(可食部100mg当たりプリン体含有量200~300mg)

:豚レバー、大正エビ、まあじ(干物)、牛レバー、かつお、さんま(干物)

水分を積極的に摂って尿量を増やす、野菜を中心とするアルカリ性食品を多くとり尿をアルカリ性に保つなどの努力も必要です。適度に運動する習慣を心がけたり、ストレスを解消したりすることも効果をたかめます。

食事療法だけでは不十分な場合は、薬物療法も行われます。

尿酸の産生を抑える薬、尿酸の排泄を促す薬、尿をアルカリ性にする効果のある薬などが使用されます。

高尿酸血症は遺伝によって発病するケースもあります。ただし、この場合、高尿酸血症そのものが遺伝するのではなく、尿酸値が高くなりやすい体質が遺伝すると考えられています。したがって食事内容に注意するなど家族性高尿酸血症の発症誘因を遠ざけていれば、高尿酸血症の発症する危険性はかなり低くなります。親子など同じ血縁の人たちも同様の注意を払うことがたいせつです。

引用  : 病院で受ける 検査と数値がわかる事典   成美堂出版

二子玉川メディカルクリニック