肝臓疾患に関しての院長の資料
肝臓病は原因が主にウイルス、自己免疫性、全身疾患に伴うものや飲酒を含めた生活習慣が関与しますが、無症状の場合が多く注意が必要です。積極的に検査を受けられることをお勧めします。ここで主に慢性肝疾患についてのお話を致します。
肝臓は予備能力が高くいため、一般に日常では全体20%程度しか使われていないため, 慢性肝炎や肝硬変になっても自覚症状が出ないことが多いことから「沈黙の臓器」と呼ばれています。このことを正しく認識し、症状がなくても検査をして病気の早期発見が望ましいです。
最近の疾患概念で非アルコール性脂肪性肝炎とは、文字通り、飲酒をしない方の脂肪肝です。慢性肝炎から肝硬変になり肝がんを合併する場合もあります。つまり飲酒をしない方でも、潜んだ肝臓病がありますので健康診断で指摘がある方は注意が必要です。
急性B型肝炎におけるウイルス増殖とトランスアミナーゼと血清肝炎マーカーの推移を表します。
基本的に成人で感染したB型肝炎は一過性の病態で治ります。
ただし最近の知見としてジェノタイプAのB型肝炎ウイルスは慢性化しやすいとされています。
B型肝炎キャリア(持続感染)の発がん年間進展率を表します。
大事なのは、非代償性肝硬変(肝硬変が進行して治らない状態)ばかりでなく、非活動性のキャリアーも含め、色々な状態でも肝臓がんが合併するということです。
インターフェロン療法は高額医療になります。
このためB型肝炎およびC型肝炎のインターフェロン治療に対しては医療費助成がございます。
実際の治療は東京の場合は都が認定した施設のみです。
当院も東京都肝臓専門医療機関です。
ウイルス性肝炎に対する社会的な動向を提示致します。
ウイルス性肝炎の場合、検査・治療の進歩に伴い専門医でないと適切な診断治療が不十分になる場合があります。
特に無症状な場合が多いので定期的な検査や専門医のコンサルトが必要です。
自己免疫性肝炎は、中年の女性に多く、本人または家族に自己免疫性疾患があり、他の肝炎の原因がない場合に疑う。
また検査事項の特徴があります。肝臓がんの発生頻度は10年でほぼ7%です(厚労省データより)。ステロイド治療が第一ですが継続的な治療が必要です。
実際の症例です。毎回人間ドックでは軽度の肝機能障害を認めます。
精査の結果、自己免疫性肝炎と診断されました。肝疾患は自覚症状が少なく定期的な健康診断の受診が重要です。またわずかでも異常を認めた場合は早めに精密検査をお勧めします。
原発性胆汁性肝硬変は、中高年の女性に多く、本人または家族に自己免疫性疾患があり、他の肝炎の原因がない場合に疑います。ここまでは自己免疫性肝炎にも見られますが、検査事項の特徴に違いがあります。
また門脈圧亢進症が肝硬変に進展するよりも早く顕在化することがあり食道静脈瘤に注意する必要があります。
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最後に肝臓病の早期発見、早期治療のポイントは、疾患を確実に拾い上げること。
検査結果の正確な把握のために早めに肝臓専門医を受診する。
必要な精密検査や治療を理解した上で受ける。
また軽度の肝機能障害のみで済まさない。
一度の検査で原因が究明できなくても、その後に病態が判明する場合があり経過観察を怠らない。
生活習慣病との関連があり普段より十分に注意をする。
以上のよう事項が重要だと思います。