血液中には、「コレステロール(LDL・HDL)」「中性脂肪(トリグリセライド)」「リン脂質」「遊離脂肪酸」という4つの脂質(血中脂質)が含まれています。脂質異常症は、特に「コレステロール」と「中性脂肪(トリグリセライド)」の値が基準を外れる状態を指します。
コレステロールや中性脂肪の値が基準から外れていても、自覚症状がほとんどないため、日常生活に支障を感じることは少なく、健康診断で数値の異常を指摘されても放置してしまう方も少なくありません。
しかし、脂質異常症の怖い点は、無症状のまま進行して動脈硬化を引き起こす可能性があることです。治療を行わずにいると、血管内に余分な脂肪が蓄積し、血液が粘り気を帯びるようになります。その結果、血管が狭くなったり、血栓(血の塊)ができて詰まることによって、脳や心臓、腹部、足などで合併症(動脈硬化性疾患)が発生するリスクが高まります。これにより、突然死や重い後遺症を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。
脂質異常症には、特定の病気や薬剤が原因で発症する「続発性脂質異常症」と、生活習慣に起因する「原発性脂質異常症」があります。特に、日常の食生活での高カロリー・高脂肪の摂取や運動不足が最大の要因で、8割が生活習慣に関連して発症するとされています。動脈硬化による合併症を予防するためには、早期からの生活習慣(食事や運動)の見直しと適切な治療が重要です。